訪問看護の力で、全ての世代に、住む慣れた自宅で、自分らしく暮らせる社会を実現する
島根県は東西に長く約230kmの距離があり、広島県・山口県・鳥取県に隣接した中山間地域と、日本海の隠岐諸島からなります。人口は、松江市と出雲市の県東部に集中しており、高齢夫婦及び高齢世帯は総世帯の25%を占めます。地域産業の約6割がサービス産業や卸小売飲食など3次産業に従事し、女性の就業率は高く、医療・介護・福祉も重要な就業の場となっています。7つの二次医療圏域における7市町村と4広域連合により11のサービス提供圏域で介護保険制度が運営されています。
このような状況の中、県内の訪問看護ステーション数は95ヶ所、看護職員数が常勤換算で460.3人(2023年)、訪問看護を利用した患者数は4,881人(2021年)となっています。看護職員数は年々増加していますが、県西部及び中山間部・離島においては未だに不足している状況です。県内の訪問看護職の年齢構成をみますと50歳以上が53.6%を占めており、若い世代の就業が少ない状況です。
島根県訪問看護ステーション協会は、1995年に任意団体として設立され、当時は11の事業所のみでスタートし、運営主体が異なる会員が日々の業務をこなしながら協会員として活動してまいりました。そこでは現場を大切にしながら、その中から得られた課題・知見を行政・群市医師会等関係者に周知し、一般市民の方へ啓発を通じて、訪問看護の理解を深める事業を行ってまいりました。会員の皆様の地道な取り組みの中で、介護保険法の創設、地域包括ケアシステムの推進、地域共生社会の実現、医療・介護の連携推進などの情勢の変化も加わり、本県のステーション数も大幅に増加しました。2013年には、介護サービス提供圏域ごとに支部を置き(9圏域)、支部活動を強化し、地域ごとの課題を話し合い、サービス向上を図りながら、多職種の方との意見交換も活発に行われています。新型コロナ感染症の在宅療養支援にも積極的に取り組み、圏域ごとの個別性を重視しながら取り組みや対応を可能にしました。
今後、各支部の活動を更に活発化し、小児から高齢者まですべての世代に、病気や障がいがあっても、住み慣れた自宅で自分らしく過ごしたいと願う方々に、身近な地域における事業所間の連携、地域関係機関と顔の見える関係を深めながら、地域ごとの医療介護連携推進に大きな役割を果たしていく所存であります。
島根県訪問看護ステーション協会
会長 櫻井照久(医師)